選挙制度が与党・現職有利にできている! 優先順位付投票制にすれば野党・新人が勝てる

政治

近年、自民党国会議員の様々な不祥事や政府の失策が続発し続けているにもかかわらず、国会議員選挙では、毎回、与党(自民&公明)が過半数を大幅に超過する結果になっています。また、知事等の首長選挙も現職が勝つことが多いように思われます。これはなぜでしょうか?

選挙制度に問題があると思われるので、調べてみました。

選挙制度の問題点

政党支持割合と議席占有率が乖離している

国会議員選出選挙について、政党に対する国民の支持率と、選挙結果(議席占有率)が乖離していると考え、2021年の衆議院選挙および2022年の参議院選挙での結果を調べてみました。

結果の説明の前に、国会議員の選挙選挙制について簡単に説明します。衆議院、参議院共に、政党または候補者名に投票して政党の得票率に応じて議席数を配分する比例代表選挙(以下、比例)と、地域ごとに選挙区を区切って候補者に投票する選挙区選挙(以下、選挙区)が同時に行われ、それぞれの獲得議席数の合算が最終的な国会における勢力となります。

下図に、与党における比例の得票率と議席占有率、選挙区の議席占有率、比例と選挙区を合計した最終的な議席占有率を示します。

比例は基本的に政党に対する投票であるため(投票は候補者名でも可能)、その得票率が政党支持率、つまり民意であると考えられるため、これを基準と考えます。

与党の支持率である比例の得票率は半数に届いていないのに対し、与党の選挙区における議席占有率はその約1.5倍も多いため、比例と選挙区を合計した最終的な議席占有率は支持率の1.3倍以上となり、過半数を大幅に超える結果となっています。

つまり、選挙区選挙で与党は民意の1.5倍の議席を得ていて、民意を全く反映しておらず、与党に有利な仕組みになっていると言えます。これにより、与党に対する支持率が下がっても選挙では絶対的多数を常に獲得し、好き勝手なことをし続けられる仕組みになっています。

小選挙区は野党の票割れが起こる

選挙区選挙でこのような民意との乖離が起こるのは、定員が1人である小選挙区がほとんど(衆議院では全て)であるからです。その選挙区では、与党候補の得票数が過半数に満たなくても、野党(無所属を含む)候補が複数いる場合は野党支持者の票が割れ、与党候補が当選する可能性が非常に高くなります。

なお、知事等の首長選挙も定員が1人であるため、同様の状況となります。なお、以下は国会議員について述べますが、首長選挙の場合については、与党を現職、野党を新人と読み替えてください。

つまり、野党が候補者を一本化できるか否かが与党候補の当落の鍵になっており、有権者の民意とは全く無関係な要因が選挙結果を左右することになっています。

また、票が割れるということは、当選者の当落に影響を与えない票(野党Cの票)が多く発生するということであり、その票は投票していないことと同じで無視されている票(死票)であるため、選挙制度として明らかに問題であると言えます。

野党候補者の1本化は困難で、その過程には民意も反映されない

もちろん、野党が勝つためには候補者を一本化すれば良いのですが、そもそも、政治信条が異なるから各政党に分かれているわけで、野党が候補者を1本化することは本質的に困難だと言えます。

また、例え1本化できたとしても、どの政党に1本化するかの選択については各政党有力者の密室の交渉によって決められるため、いずれにしても有権者の民意が反映さないという問題が生じます。

解決策

決選投票を行う

野党の票が割れて民意が選挙結果に反映されない対策として、決選投票があります。これは、1回目の投票で過半数を獲得する候補者がいなかった場合に、得票数の上位2人だけで再投票(決選投票)を行うもので、自民党の総裁選挙やフランスの大統領選挙で採用されています。

また、上位2人ではなく、最下位の候補者のみを除いて再投票を繰り返す方法もあり、上位2人で再投票するよりも死票を無くすことができますが、候補者が多い場合は投票の回数が多くなるため、有権者と候補者が少ない場合(オリンピックやサッカーワールドカップの開催地選定等)で使用されています1

1回の投票で決選投票を行う優先順位付投票制

上記の説明の通り、最下位の候補者のみを除いて決選投票を繰り返すことが最も民意を反映できると考えられますが、投票を何度も繰り返すことは国政選挙では現実的ではありません。このため、これを1回の投票で完了するために考案されたのが小選挙区優先順位付投票制(別名、即時決選投票)で、がオーストラリアの国会議員選挙等で行われています2

これは、投票時に、任意の数の候補者に優先順位(1、2、3、・・・)を記入するものです。集計では、まず、1位と記載された票数が1番少ない候補者が落選します。その後、その落選者を1位とした票の2位に記載された候補者に票が加算されて再集計され、再び最少得票数の候補者が落選します。このように落選者の票を次の優先順位の候補者に加算することを繰り返し、当選者が決定されます。つまり、人気が最も無い候補者を除いて再投票するということを、集計時に自動的に繰り返していることになります。

これにより、得票数の少ない候補者の票が無駄(死票)にならず、野党候補が民主的に自動的に1本化され、最終的に与党候補と一騎打ちになります(もちろん、与党候補が最後まで残らない場合も有り得ます)。一騎打ちになれば、当然、与党と野党の得票率が支持率・非支持率と同等となり、民意が反映された選挙結果となります。

なお、首長選挙において新人の票が割れて現職が勝つことに対しても、同様の方法により、民意が正しく反映されるようになります。

利害が生じる制度は第三者機関が作るべき

以上、選挙制度の問題点と対策を記載しましたが、現在のような卑劣な制度を、選ばれる与党議員自身が作れてしまうことが、根本的な問題であると言えます。このような状態では、政権交代が極めて起きにくく、究極的には独裁国家を作ることも可能であり、ロシアや中国のようになりかねない危険性があります。

また、昨今問題となっている多額の政治献金を集める仕組みも、議員の私腹を肥やし、議席を守るだけでなく、なれ合いの関係の大企業経営者等に有利な政策を行うことにつながり、それがベンチャー等による新たな産業の発展や、労働者の待遇改善を阻害したりして、日本の産業競争力や賃金が世界から完全に取り残され、ひいては将来不安による少子化を招いていると言えます。

また、男性老害議員が多数居残っていることで、ジェンダー平等や少子化対策、夫婦別姓等の基本的な人権を尊重する当たり前の制度が世界から大きく遅れていることにも繋がっていると考えられます。

このため、根本的な解決のためには、議員自身に直接利害が生じる制度については、議員とは独立した第三者機関が作る、あるいは審査することが必須であると言えます。これにより、真に民主的で公平公正な制度を作ることができると考えられます。

参考文献

  1. 決選投票 – Wikipedia ↩︎
  2. 優先順位付投票制 – Wikipedia ↩︎
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