逆走事故防止に有効な鋭角進入型ラウンドアバウトの導入提案

高速道路インターチェンジにある信号交差点の現状と、ラウンドアバウトに変更した場合を説明した図交通

東北自動車道で発生した痛ましい逆走事故

2025年4月26日、栃木県那須塩原市の東北自動車道で逆走車による重大事故が発生し、15人が死傷する悲惨な結果となりました。

事故の原因は、インターチェンジ内の交差点構造にあったと言われています。

この記事では、事故の背景と問題点を整理し、誰もが安心して通行できる道路を目指す逆走対策の具体策について解説します。


逆走が起きる要因:インターチェンジ交差点の構造上の問題

事故現場の交差点では、上り車線に入る車と出る車が交差する信号交差点がありました。

主な問題点

  • 逆走方向に曲がる角度が緩く、簡単に逆走できてしまう構造
  • 標識を見落とした場合でも、逆走を防ぐ設計になっていない

本来、「人はミスをするもの」という事実を踏まえた設計にすることが安全工学における大原則ですが、この交差点ではそれが十分に考慮されていなかったのです。


逆走を防ぐには:環道への進入部を工夫したラウンドアバウトが最適

逆走を防ぐためには、逆走方向に簡単に曲がれない構造にすることが有効です。

その方法として、以下が考えられます。

  • 交差部を鋭角に設計する
  • 通行路の端(路側部)にラバーポールを設置し、逆走方向への転回を困難にする

そして、交差部が鋭角になることで、小さい角度で合流・交差することになるので信号が不要となり、すなわちラウンドアバウトになります。つまり、環道の進入部を鋭角化したラウンドアバウトを導入することが最適であると言えます。

高速道路インターチェンジにある信号交差点の現状と、鋭角進入型ラウンドアバウトに変更した場合を説明した図
逆走が発生したインターチェンジ内信号交差点の現状と対策案(黒磯板室IC Googleマップに追記)

ラウンドアバウトの副次的メリット

逆走防止に加えて、ラウンドアバウトには以下の多数のメリットもあるため、逆走対策が不要な場所にいおても普及を早急に進めるべきです。

  • 信号無視・見落としによる事故が無い
  • 合流が1方向のみ、かつ運転者双方が相手を注視するため、衝突リスクが非常に低い
  • 交差点内の速度が低くなると共に交差角度が小さいため、衝突時の被害が格段に小さい
  • 横断歩道が車同士の交差部から離れているため、対歩行者の事故も少ない
  • 信号待ちが無い
  • アイドリングや加減速が減り、環境負荷が軽減
  • 設備維持コストが大幅に低いと共に、停電や災害に強い
  • 転回(Uターン)が容易で、切り返し等の際の危険が無い

ラウンドアバウトのメリットについては下記に詳しく記載していますので、ご参照ください。


まとめ:逆走防止を最優先に据えたラウンドアバウトの導入を

今後の道路設計では、人間のミスを前提とした安全設計が不可欠です。

その手段として、

環道への進入部を工夫したラウンドアバウト

が非常に有効です。

逆走防止を第一の目的としつつ、その他の副次的メリットも活かした、安全で合理的な交差点の導入を積極的に進めるべきでしょう。

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